Hadoop導入事例

CASE Hadoop

Hadoopの導入事例をみる 
大東建託株式会社様

「様々な切り口を組み合わせた柔軟な分析」「全期間データに対する精緻な分析」「個人スキルに依存しない分析」をHadoopで実現。
Hadoopにデータを集約し、事前に加工しておくことで、分析ススピードも大幅に向上。

土地・建物のオーナー様に代わり "賃貸経営のすべてをお引き受けする" ビジネスを展開する大東建託。 空室の発生、家賃相場の変動、建物修繕など様々な変動リスクに対応するため、大東建託は運営状況を精緻に分析し、 意思決定をスピーディに行うBIシステムの導入を決定した。90万戸を超える管理部屋、30年以上の家賃や修繕計画を分析する基盤 として着目したのがHadoop。並列分散処理基盤のHadoopを中心に据え、SAS® Visual Analyticsと連携させることで、 直感的かつ迅速な分析が可能なシステムを実現した。
NTTデータは、Hadoopに関する豊富な知見と経験にともなう設計・開発力とインテグレーション力を活かし、BIシステムの導入を成功に導いた。

お客様の課題

  • 予め定義した軸による静的な集計結果しか見ることができず、柔軟な分析はできなかった。
  • 全期間のデータを扱うことはできず、絞り込んだ情報に対する粗い分析しか行うことができなかった。
  • 分析に至るまでの手順や方法が個人スキルに依存していた。
  • データの抽出や加工に時間を要し、分析の前段階における時間が長かった。

導入の効果

  • 様々な切り口を組み合わせて分析できるようになり、柔軟かつ瞬時に状況を把握できるようになった。
  • 全期間のデータに対する精緻な分析が可能になった。また、予測機能による深い分析もできるようになった。
  • 個人スキルに依存しない分析環境が整った。
  • データの抽出や加工の時間が削減され、仮説立案~検証のサイクルを素早く回せるようになった。

導入の背景・課題

データを即座に分析して意思決定に役立てる仕組みの整備が急務

業界トップの管理戸数を誇る大東建託。独自の「賃貸経営受託システム」によって、「空室時の家賃収入」「家賃相場の変動」、 「退去時の原状回復費や将来的な建物修繕費の負担」など様々な変動リスクを低減・吸収し、土地・建物オーナー様の不安を解消している。 裏を返せば、大東建託はオーナー様のリスクを背負うことになる。
「管理部屋数が順調に推移していく中で、これらのリスクに対する新施策、ビジネスモデルの見直しといった意思決定をよりスピーディに行う 必要があり、データの中から気づき、発見、発想をする仕組みの重要性が増していた。」と情報システム部 次長 長野勇一郎氏は背景を語る。
集計・分析は従来から行っていた。しかし、既存システムでは全量データを扱うことが難しく、絞り込んだ情報による粗い分析しか行うことができなかったうえ、 結果は静的な1枚の集計値を見せるだけのものだった。また、新たな切り口による集計・分析を行うには、 表計算ソフトや簡易データベースソフトを扱う個人のスキルに依存してしまうという課題があった。 さらに、基幹システムのデータは一定期間経過した後に圧縮されて保存されるため、 過去のデータを取り出す際は、情報システム部門に依頼する必要があった。 その結果、集計・分析に着手するまでの時間が長くなるという課題を抱えていた。
「過去データを含めて集計・分析する場合は、分析要員の確保、データ抽出の依頼・承認、地道な集計作業を経るため、 結果がでるまでに最短でも2~3日かかってしまう状況だった。」

大東建託株式会社 情報システム部 次長 長野 勇一郎 氏
大東建託株式会社 情報システム部
次長 長野 勇一郎 氏

Hadoop選定理由

拡張性、OSSであること、そしてHadoopのリーディングカンパニーNTTデータの存在

大東建託はこれらの課題をどう解決したのか。

Hadoopの採用

全期間のデータを蓄積・分析する手段として大東建託が着目したのが、 並列分散処理基盤の「Hadoop」だ。情報システム部 課長 板谷 隆史氏は、Hadoopを採用した経緯について 3つのポイントを挙げた。

  1. (1)拡張性
    「現在の分析対象データの容量は1TB程度であるため、 Hadoopでなければ処理できないサイズではなかったが、今後、様々なデータを蓄積し、掛け合わせて分析していきたいという思いがあり、将来を見据えてHadoopを選定した。 他のDWH製品と比べて扱うデータサイズに合わせて柔軟に構成できる点を評価した。」
  2. (2)オープンソースソフトウェア(OSS)
    「HadoopはOSSであるため、初期導入コストの点で勝っており、社内の理解を得やすかった。OSSの場合は扱える開発ベンダが多いのもメリット。ベンダロックインされない点を評価した。」
  3. (3)Hadoopのリーディングカンパニー「NTTデータ」の存在
    Hadoopを利用する際、技術面、運用・保守面での不安はなかったのだろうか。 「不安はあった。当社としても初めての技術で、WEB上には良い情報しか載っておらず、本当に?と思っていた。ここが、NTTデータにお願いした理由にもつながる。」と長野氏。決め手となったのは、NTTデータが2009年度に執筆した経済産業省の産学連携ソフトウェア工学実践事業報告書である。「この報告書を読み、プロジェクトの担当者が感銘を受けた。Hadoopのリーディングカンパニーであれば信頼して任せられると考え、Hadoop & NTTデータを選定した。」と板谷氏は語る。
大東建託株式会社 情報システム部 課長 板谷 隆史 氏
大東建託株式会社 情報システム部
課長 板谷 隆史 氏

現場への導入効果

リリース前の操作説明会で、業務部門が挙げた仮説を、画面をその場で操作しながら即座に確認・検証することができ、業務部門の担当者の反応がよかったことから本格導入への感触が掴めたという本システム。 「本格的な効果測定はこれからだが、仮説立案・検証のサイクルが速やかに進み、業務部門主体の分析が浸透しつつある」と板谷氏は説明、次のような効果を生み出したと述べた。

様々な切り口を組み合わせて分析できるようになり、柔軟かつ瞬時に状況を把握できるようになった。

  • ・「間取り」「地域」「築年数」といった切り口を組合せて運営状況を柔軟に分析し、建物の収益の傾向を瞬時に把握できるようになった。
  • ・長期修繕計画と実際の費用負担を、建物単位で比較しながら分析できるようになり、修繕計画の見直しなどに利用できるようになった。

全期間のデータに対する精緻な分析が可能になり、予測機能による深い分析もできるようになった。

  • ・全期間のデータを利用して、入居・空室期間など業務上重要な情報を精緻に把握できるようになった。
  • ・SAS製品を活用することで、部屋単位で退去日や入居日を予測できるようになり、その傾向やギャップを元にした深い分析ができるようになった

個人スキルに依存しない分析環境が整った。

  • ・データ抽出や加工をシステム化することで、表計算ソフトや簡易データベースソフトを用いたデータ事前準備などの「個人スキルに依存した作業」が排除された。
  • ・SAS® Visual Analyticsの導入により、ダッシュボード画面からデータの集約・抽出条件を指定できるようになり、誰もが直感的かつ手軽に分析できる環境が整った。

データの抽出・加工時間を削減!仮説立案~検証のサイクルが素早く回るようになった。

  • ・従来は、分析要員の確保、他部門へのデータ抽出の依頼・承認を経たうえで、地道な集計作業を行っていたため、 結果がでるまでに最短でも2~3日かかってしまう状況だったが、 データの取り扱いに関する承認プロセスも合わせて変更し、Hadoopにデータを集約し、事前に加工しておくことで、仮説立案~検証のサイクルが素早く回るようになった。

図:データ抽出・加工時間の削減効果

展望

今までは実施困難だった切り口による分析や、外部データとの組み合わせで、新たな発見を。

今まで扱うことができなかった長期間のデータを、様々な切り口で素早く分析できるようになった本システム。
今後の展望と期待について伺った。
「実績値をもとにした建物修繕計画の精度向上や、既存計画の見直しにつなげていきたい。 修繕負担の大きい工事項目については高耐久化対策を実施するなど、 ビジネス的にもフィードバックできる仕組みを育てたい。」 と大東建物管理株式会社 管理工事部 計画営繕課 課長 石羽 壮氏(現 八王子営業所 2課長)は展望を語った。
さらに「寒い時期に作った建物はタイルがはがれやすいなど、天候による違いがあるかもしれない。また、海に近い地域の修繕、雪が多い地域の修繕など 、地域特性も炙り出したいと考えている。」と同氏。
「外部のデータと組み合わせることで、新たな発見ができないかと。人口統計や推移と掛け合わせることで、 数年後の家賃相場・変動トレンドなど、将来の予測に繋げたいという期待は持っている。 ゆくゆくは閲覧・利用可能な人数を増やしたいという思いもある。 Hadoopは拡張性が高いので、環境を拡張しながらいろいろなことをやっていきたい。」 と長野氏も続ける。
より多くの気づき、発見、発想が得られるシステムへの成長と 拡大が期待されている。

大東建物管理株式会社 管理工事部 計画営繕課 課長 石羽 壮 氏 (現 八王子営業所 2課長)
大東建物管理株式会社
管理工事部 計画営繕課
課長 石羽 壮 氏 (現 八王子営業所 2課長)

FEATURES

システムの特徴

本システムではHadoop上のアプリケーションは全て、SQL相当の記述で実装できるHiveを用い、短期間で開発を完遂した。
SQLを書ける技術者であれば開発を進めることができるため、実装に従事するメンバを揃えやすいというメリットもある。
また、様々なチューニングを施すことで、Hadoop上に保持するファイルサイズを、 情報量を失わずに100分の1程度に圧縮し、データマート作成時間を短縮した。
これらの工夫によって、Hadoopクラスタのサーバ台数を抑えつつ、全体の処理速度を上げることに成功している。

本システムのシステム構成概要図を以下に示す。

図:システム構成概要図

CUSTOMER

お客様情報

大東建託株式会社

本社所在地
東京都港区港南二丁目16番1号 品川イーストワンタワー21~24階(総合受付24階)
設立
1974年6月20日
資本金
29,060百万円
主な事業内容
(1)アパート、マンション、貸店舗、貸工場、貸倉庫、及び貸事務所等の建設業務
(2)入居者斡旋等の不動産仲介業務、及び建物管理、並びに賃貸借契約管理等の不動産管理業務
大東建託株式会社

FROM NTTDATA

NTTデータ担当者より

Hadoopのプロフェッショナルを揃え、最良のアプリケーションと処理基盤を提供。
お客様の業務を一つ一つ紐解きながら信頼関係を構築し、短期開発に成功しました。

システムの要件定義から設計・製造・試験、基盤構築・運用支援に至るまで一貫してNTTデータが支援させていただきました。
開発メンバにHadoopのプロフェッショナルを揃え、弊社が手がけるHadoopソリューションのノウハウの下、最良のアプリケーションと処理基盤を提供させていただいたと自負しています。
その一方で、お客様の業務を設計書に落とすところは苦労しました。 お客様の業務は長い歴史があり、中には複雑なロジックも含まれています。 お客様の業務を紐解きながら、既存データの中身を確認し、設計書に一つ一つ整理していく。正攻法ではありますが、お客様の課題に実直に向き合い、信頼関係を築いていった点も成功のポイントと考えています。
今回は「柔軟な集計・分析」「精緻な集計・分析」をBIシステムで実現いたしましたが、ビジネスの拡大に合わせてデータ量の増加を見込んでいるお客様、データ活用について課題を持たれているお客様は、ぜひ弊社までご用命ください。 Hadoopのプロフェッショナルが新たな価値の創出をお手伝いさせていただきます。

(右):大東建託 情報システム部 課長 板谷 隆史氏(左):NTTデータ OSSプロフェッショナルサービス 菊池 洋光
(右):大東建託 情報システム部 
課長 板谷 隆史氏
(左):NTTデータ OSSプロフェッショナルサービス
菊池 洋光

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